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本庄へ始めて車で行ってきました‼(小川美穂子)

いつからだろう。時々本庄へ行くようになりました。

講演や美術館、映画など、高崎線上り方面に行くのは、当たり前の日常だけど、わざわざ下って行くというのは、みなさんもなかなかないのでは? 

私の場合、本庄に行くようになったのは、知人が古い蔵をなおしたカフェ&フリースペースNINOKURA(店主小林由美さん)を始めたからでした。前は、二階で映画会なども定期的に開かれていました。深谷シネマで何回か開いたドキュメンタリー自主上映会の仲間が集って、アットホームにいい感じでした。

それから、「いどばた」という集まりに参加するようになりました。これは三年くらい前からか。主宰の「本庄九条の会」田中益生代表の往年の文学青年ぶりに親近感が持てて、第三土曜日が空いていると、下り電車に乗って出かける例会。戦争体験者などを囲み、少人数でお話が聞ける場でした。

そして、なんと言っても99歳の大野英子さん。戦時下の悪法・治安維持法で犠牲となったお兄さんの遺志を継ぎ、教師時代は組合員活動に励みながら著作、講演し、その小さな体いっぱいのパワーで、ファンの多い媼です。歯に衣着せぬ物言いとユーモア溢れるおしゃべりで、猫の大好きな方。歳を取ってから始めた短歌や野の花の絵で、いまも現役です。

もう一つ、最近知り合ったのは、居酒屋「さんご」を営む高橋次男さん。マーシャルの寿司屋で働いて後、脱原発運動に取り組むようになり「イラストを描く」ことで発信し、わが「熊谷空襲を忘れない市民の会」でも一昨年三月に講演に来ていただいています。

そんなこんなで身近となった本庄ですが、今までは電車でした。それが、今回、迷った末に(運転が苦手だから)車で行ったのは… 「持ってけ市」のお誘いがあったからです。

誘って下さったのは、埼玉農民連の立石昌義会長でした。聞けば田中さんもスタッフだとか。つまり、地域の心ある方々が、野菜等食料品や日用品を弱者支援で「持ってけ~」ということなのです。「モノはたくさん集まったけれど、第一回であまり人が来ないかも~」。ということで、本庄市役所まで駅から歩く自信のない私は、欲張り心もあり、車で行くことにしたのです。こういう催しは、実家のある酒々井町では順天堂大学キャンパスで開かれています。

久しぶりの本庄行きは、取材もかねてワクワクしながらハンドルを握りしめていました。

蓋を開けてみると、車で行って大正解です。風がビュービュー吹く市役所前広場。受付を済ませて幾人かに話も聞き、結果として、両手に抱えきらないお土産付きとなりました。ラオスからの農業研修生にも会いましたが、笑顔のかわいい彼・彼女ら、母国へ帰ることもできないそうです。次回は自分も何か提供しようと思います。

そして、幾つかの目的をこなした上に、なんと、前から行きたかった若泉公園に、道に迷ったお陰で、行けたのです。

ここは石川三四郎の文学碑があるところ。この高邁なジャーナリストは幸徳秋水らの同志でキリスト教者として、苦難をなめながら様々な著作をものしました。何より、印象深いのは、小林多喜二を支えた伊藤ふじ子の養父であったということ。そんなこんなで盛りだくさんの、小さな旅となりました。