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新型コロナウイルスから思うこと(吉田庄一)

先日、市議会議員のKさんに、ワクチン打つんですかと聞かれ、「はい」と躊躇なく答えてハッとした。何の迷いなく世の中の流れに順応している。熊谷市からも75歳以上の高齢者にワクチン接種の通知が送られたそうだ。ただ実際の接種などいつになるやら。私なぞは今年は無理かななんて思っている。 

 

新型コロナウイルス(COVID-19)は、近年のSARSやMERSとおなじコロナウイルスによる感染症だが、感染力が強力であっという間にパンデミックになってしまった。すべての国がその対応を余儀なくされ、あちこちでドタバタ劇が繰り広げられた。わが日本においては、その対応が後手後手でワクチンの接種に関してはOECD加盟37か国中最下位という状況で、対応の失敗が明らかになっている。 

 

1年延期となった東京オリンピックだが、今夏開催できるのか怪しい。安倍元首相の嘘からスタートした東京オリンピックだが、私は、ワクチンはどの国よりフライング気味にでも打つんだろうなと勝手に思っていたが、どの国より遅いとは、自虐的にすら見える。令和のインパール作戦と揶揄する人も多い。 

 

ところで、新型コロナウイルス(COVID-19)の発生源は中国の武漢と言われている。まだはっきりしたことは分かっていないが、おそらくコウモリや鳥などに寄生していたウイルスがハクビシンなどの野生動物を介して、人間に感染したものと思われる。近年多発する新型のウイルス感染は、その生存地域の生態系が維持できなくなってきていることの証左ではないか。開発や温暖化と無関係ではないだろう。だとすれば、今後もこの手の感染症は発生する。 

 

文明の発展の行きつくところは、人間の幸せでなく破滅なのかもしれない。地球は思い通りに支配できると思った人間の驕りなのだろう。先日ボケっとNHKで去年亡くなったC・Wニコルさんのドキュメント映像を見ていたら、彼は氾濫した河川をコンクリートで改修する計画に猛反発し熱く語っていた。南アルプスを貫通するリニア新幹線工事に対して、静岡県が大井川の水源に影響が大きいとしてやはり猛反発している。国は福島第一原子力発電所の汚染水を処理水と糊塗して海に捨てることを決定した。原発利権界隈の人たちは、カーボンニュートラルに向けて、原発は必要とアナクロニズム的言い訳を展開している。どれもこれも地球は思い通り支配できると思っているのだろう。 

 

東日本大震災から10年が経った。ユーチューブで当時の津波の様子を何回も見た。津波はいとも簡単に堤防を越え家々を流した。何年か前に新しく構築された巨大な堤防の上を歩いたことがある。かつての堤防よりはるかに高く頑丈なのだろう。でも、これを越え破壊する津波は来ないとはだれも言い切れないだろうと思った。もう遅いかも知れないが人類は気づいた方がいい。地球を支配するのでなく共存する道を。