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77年目の夏・・・3(吉田庄一)

赤羽「青猫書房」、この名前が私の前に突如出現したのは2カ月ほど前か。その後、東京新聞などでも取り上げられ再認識した次第だ。

 

青猫書房の場所だが、赤羽駅東口をまっすぐ進むと大きなアーケード、スズラン通りに入る。しばらく行くと右側にダイエー、赤羽岩淵中となる。そこを北(左)に抜け、2路地目の右側にある。外見はきれいですっきりしている。青猫書房は、子ども用書籍の専門店で奥に展示スペースがある。

 

この展示スペースで2022年7月22日~8月22日まで、「水の音、川の音」と題した展示会が開催された。「最後の空襲 熊谷」のイラストを担当したSさんが主催したもので、メインの展示は、私たちの本にも使わせていただいた清水昭治さんの紙芝居の原画だ。8月7日には米田さんの詩の朗読会や江藤さんのパンフルートの演奏会なども開催されたが、私は都合により参加できなかった。

 

なわけで、8月17日の盆休み明け(青猫書房の)、どうにか仕事を抜け出し訪ねた。赤羽というと一番街だ、降りるとどうしても駅前を左に吸い寄せられてしまう。といっても私は吞兵衛でも酒が強いわけでもないのだが、一番街はよく行く。埼玉県に住んでいると安心できるのかもしれない。川を渡ると埼玉だ。私の中では埼玉県の玄関口は池袋ではない。埼京線や湘南新宿ラインで時間的にはさほど変わらないのだが、池袋は西武池袋線や東武東上線を使う埼玉県西部地域の人たちの玄関であって、京浜東北線や高崎線、宇都宮線を使う私たちの玄関ではない、と勝手に思っている。すると東武伊勢崎線はどこが玄関なのだろう?地下鉄が乗り入れているし線路も複雑だし、北千住?

 

話を戻そう。青猫書房の児童書は充実している。経営者のセンスがわかるというものだ。奥の展示場はちょうどいいサイズだ。展示スペースでは、熊谷空襲の紙芝居画のほか熊谷染めについても触れられている。その中のテーブルで一人コーヒーを飲みながらゆったとした時間を過ごしていたら、突如訃報が。既に退職して20年近くなるが、先輩Uさんが亡くなったという。「最後の空襲 熊谷」を買ってくれて事務所に会いにも来てくれた。だれしも命には限りがあるが、寂しい限りだ。「最後の空襲 熊谷」の本もこの期間置いてもらった。