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自民党の統一教会汚染(吉田庄一)

不定期で書いているブログだが、他のメンバーの投稿が少ないので、先日小川さんにお願いしたら、さっそく最近読んだ本の感想文を寄稿してくれた。私は、いろんな種類の本を興味の赴くまま読んでいて、今回は最近読んだ統一教会絡みの本を紹介したい。

 

「自民党の統一教会汚染 追跡3000日」(鈴木エイト;小学館)だ。

 

安倍元首相暗殺事件に端を発し、統一教会問題が俄然クローズアップされ、著者の鈴木エイト氏は、テレビなどに引っ張りダコのようだ。霊感商法が社会問題化してだいぶ時が経過した。この間、統一教会は今までの行いを悔い改め普通の宗教団体に変化したわけではなかった。さらに巧妙に己の目的のため政治家を取り込んだ活動を続けていた。政治家も彼らを利用してきた。多くのマスメディアやジャーナリストは特段問題意識を持っていなかったと言える。ニュースバリューが高くないと判断していたのか、政権に忖度していたのかわからないが、とにかくマスメディアから消えていた。

 

そんな中でも、鈴木エイト氏は、時には警察に連行されたりしながら、統一教会と政治家を追い続けていた。直当て取材を中心に体を張っていたのだ。エピローグで鈴木氏は「山上哲也の起こした事件は決して正当化されることではない。安倍が暗殺されるに至った事件の背景には、政治家がカルト被害者のさらに背後にいる被害者、カルト被害者の家族―特に子供の被害実態を見ておらず、軽視および放置してきたことも要因の一つだ。・・・・選挙に勝つことや、保身に走り「使わなくては損」とばかりに安易に教団やそのフロント組織と関係を持ち、そのような反社会的なカルト団体を積極的に受け入れ、バーター取引をしてきた政治家たちの道義的な責任は限りなく重い」として、自戒を込めて、「統一教会の悪質さ」「被害の深刻さ」「家庭崩壊や2次被害者の存在、2世問題」「政治家との関係」等を提示して可視化してこなかったメディアを含む我々社会の側にもある。」としている。まったくその通りと思う。巻末に関係のあった現職国会議員168人の名簿が掲載されている。祝電くらいからどっぷり浸かっているレベルまで様々だが、自民党を中心とした政界汚染は底知れない。

 

長くなるが、私が統一教会問題で理解できないのが、安倍などの右翼政治家やその界隈の人たちの嫌韓意識や民族差別的な言動と、統一教会との親和性だ。統一教会は、日本を贖罪の国として、その対価なのか法外な金額を集め韓国に送金している。金額は数千億円とのことだ。日本は永久に韓国に仕える存在として位置づけられている(エバ国家)。日本の首相などは、「真のお母さま」という韓鶴子に侍る存在なのだ。問題のビデオメッセージで安倍元首相は、このような韓鶴子を最大限持ち上げている。

 

本書によると、2019年末から2020年年始にかけて、約1200人の統一教会の大学生信者が渡韓し、強制徴用被害者と慰安婦へ直接謝罪、少女像が設置された旧日本大使館前で、安倍政権に過去の歴史への謝罪を要求する会見を開いた。この大学生グループは、統一教会のフロント組織、世界平和青年学生連合(YSP)で、教団の二世信者特別研修会として行われたそうだ。これは、明らかに日本政府・安倍政権への批判行動である。合同結婚式で日本人女性約6000人が韓国の男性に嫁いでいるという。贖罪意識をベースにした洗脳された女性たちだ。

 

一方、日本でシールズに代表される政治に対して声を上げる若者たちがメディアで大きく取り上げられるようになると、統一教会は対抗してユナイトという学生組織を作り、安倍政権を支持する活動を開始した。集会やデモ行進を行い安保法制賛成、憲法改正など安倍政治を支えようという行動だ。さらに自民党の政治家たちが統一教会とただならぬ関係を構築してきた。集票、選挙応援、秘書受入、統一教会やそのフロント組織の集会への参加や講演などだ。このダブルスタンダードや宗教法人というよりカルト団体、3000万円の経典や1000万円の壺などを売り、多くの被害者を出している団体とどう折り合いをつけていたのだろうか。本書でもわからなかった。あと一つわからないのが、自民党の中で壺議員たちと関係のない議員たちの自浄の行動だ。全く見えてこない。