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12月8日(吉田庄一)

今日は、42年目と81年目の12月8日。熊谷では酉の市が開催(去年はコロナ禍で中止だったのか定かではないのだが)されるとのことで、勤め帰りに高城神社に立ち寄った。コロナ前には及ばないが人出はそこそこあるようだ。今年最後の満月が火星を伴って帰り道を照らしあっという間の12月を感じ切なくなる。1年が年々短くなっていく。私はスタッフブログのみなさんほどではないが、私なりに忙しく動き回っている師走でもあるのだが。 

 

42年前の12月8日 

ジョン・レノンがニューヨークのダコタハウスの前で射殺された日だ。犯人はファンだとの報道があるがどうなんだろう。数年後、ニューヨークに行く機会があり、時間を作ってダコタハウス前で現場を確認して彼の死を悼んだ。だいぶたってから日本ではこの時期に、「ジョン・レノン スーパーライブ」が開催されるようになり、オノ・ヨーコさんや日本のミュージシャンがビートルズやジョンの曲を演奏、みんなジョンにリスペクトし会場は平和であふれた。私はほぼ毎年参加し、私の年末行事の一つになっていたが、今は開催されなくなってしまい寂しい限りだ。 

 

また、この時期流れるクリスマスの定番ソング「ハッピークリスマス」のリフ「War is over If you want it」は、プラカードなどによく使わせてもらった。その時、頭の中には、だいたいこのメロディーが流れていた。軽井沢の万平ホテルには彼直伝のロイヤルミルクティがあり、軽井沢方面に出かけるときは立ち寄るようにしている。コロナ禍で軽井沢遠くなっているが、主にパリでポップな絵を描いている画家がいて、パリに行けなくて(戻れない?)軽井沢で描いたという風景画に、万平ホテルが描かれているというだけで衝動買いしてしまった。 

 

彼が亡くなって40年以上たつが、戦争がなかった時はない。今年もロシアがウクライナに侵攻、終結の見込みがないように見える。いわゆる同じ価値観を共有するという西側諸国では「悪」プーチンのロシア対「正義」のゼレンスキーのウクライナとのプロパガンダが徹底していて、プーチンが白旗上げるまで戦え戦えと武器を送り続けている。アメリカにしてもロシアにしても外交の失敗であるのだが、どこが失敗の曲がり角で、なぜ戦争が防げなかったのかという視点はあまり見られない。人類は退化しているのだろうか。ジョン・レノンが生きていたらどんなメッセージを出し、どんな行動をとっただろうか。 

 

81年前12月8日

これは言わずもがな「大本営陸海軍部発表。帝国陸海軍は今八日未明西大西洋において米英軍と戦闘状態に入れり」のその日だ。日本の破滅の始まりの日でもある。私たちの街、熊谷が1945年8月14日〜15日にかけて、米軍の最後の空襲に遭い、15日はポツダム宣言を受諾し、日本は白旗を上げることになった。「最後の空襲 熊谷」の本は、この戦争の記憶を若い世代に引き継ぎ、二度と戦争を起こさない国となることを念頭に編集した。だが、70年〜80年の年月は負の歴史の希薄化をもたらし、もどかしい思いをしているのも事実だ。 

 

太宰治に「12月8日」という短編がある。戦時下での小説で、今読むとこんな小説よく通ったなと思う。物語は作家である太宰の奥さんの目線で、12月8日を日本の貧しい家庭の主婦は、どんな一日を送ったかを書いている。ユーモアというか時代を茶化しているとも言える内容だ。太宰は自身の持つ最大の武器を、だまし絵のようにあの時代あの時を描写したのではないか。少し引用してみる。

 

「西太平洋ってどの辺だね? サンフランシスコかね?」 

(略) 

「西太平洋といえば、日本のほうの側の太平洋でしょう」 

と私が言うと、 

「そうか」と不機嫌そうに言い、しばらく考えて居られる御様子で、 

「しかし、それは初耳だった。アメリカが東で、日本が西というのは気持ちの悪いことじゃないか。日本は日いずる国と言われ、また東亜とも言われているのだ。太陽は日本からだけ昇るものだとばかり僕は思っていたのだが、それじゃ駄目だ。日本が東亜でなかったというのは、不愉快な話だ。何とかして、日本が東で、アメリカが西と言う方法は無いものか」 

 

今は当時と違い、権力者に疎まれても声をあげることができる。そこでだ、敵基地攻撃能力(反撃能力)を持つことに前のめりになっている岸田自公政権、憲法からの逸脱が甚だしいと思わないか。軍事費もこの5年間で43兆円使うという。こんなことがまかり通ってしまう政治は異常だ。戦争を知らない世代が浅はかな政治を行っているのではないか。マスメディアは相変わらず政権に尻尾を振っているように見える。政権への支持率を下げるだけでなく、もっと怒らなくてはならないと思うのだが。

(下の写真は12月8日の朝、事務所から。上の写真は夜、高城神社)

 

 

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コメント: 3
  • #1

    かずみ (日曜日, 11 12月 2022 11:31)

    昔はさいたまスーパーアリーナにジョンレノンのレストランがあったので、食事が終わるとみんなで歌わせられたんだよね。みんな圧倒的にレノン嫌いと言う人はいないから、盛り上がりフィナーレ。でも、ダコダハウスまで行ったなんて、すごい入れ込みようだったんだ。毎夏車がある時は万平ホテルに行っていたけど、そんな絵を買ったとはいやはや凄い。ホテルの宿帳には、レノン、三島の名前があったっけ。 高城神社は賑わいだったんですね。もう、何十年も行ってないけど子どもの頃、毎年おばあさんに人形を買ってもらえるのが楽しみで熊手やお飾りにはまったく興味がなかった。

  • #2

    yum (日曜日, 11 12月 2022 13:08)

    5年間で43兆円の軍事費‼️岸田さんは未来のためにとか言ってるよね。軍事費にそれだけ使うお金があったら、子どもや教育や研究や新事業開発に使った方がよっぽど未来の為になると、誰でもわかる話。

  • #3

    かずみ (日曜日, 11 12月 2022 14:46)

    軍事費増強なんかいらない。今夜の夕飯が満足に食べられない子がいるんだから。武器を増やせば、外国はいくら自己防衛だと言っても、日本は戦争をまたしたいんだとしか映らない。原発再稼働を考えているらしいけど、あの日から何年も経っているのにこの間、再生エネルギーについて本気で考えた議員がいたんだろうか。